不育症・着床不全

INFERTILITY TREATMENT

不育症に対する低用量アスピリン療法について

不育リスク因子である抗リン脂質抗体や血液凝固異常をもつ方は、血栓ができやすく流産や死産を起こしやすい状態と考えられています。
アスピリンは本来鎮痛解熱剤ですが、低用量で服用すると血液を固まりにくくする作用があることが知られています。そのため心臓病や脳血管疾患の患者さんの血栓予防に広く使用されています。
1980年代後半に、抗リン脂質抗体症候群により流産を操り返している妊婦さんに、低用量アスピリンの効果が認められたという報告が初めてされました。しかし、抗リン脂質抗体をもつ不育症の患者さんは、心臓病や脳血管疾患の患者さんに比べるとずっと少ないため、大規模な調査結果がなく、不育症でのアスピリンの効果が科学的に立証されているとはまだいえません。しかし、副作用が少ないこと、上記のように実際に抗リン脂質抗体症候群で有効であるという報告があることなどから、当院では抗リン脂質抗体が陽性の方や血液凝固異常の方には低用量アスピリン療法を推奨しています。
なお、現在のところアスピリン(バイアスピリン)の不育症に対する保険適応はありません。

1.治療の方法

高温期に入った時点で低用量アスピリンの連日の服用を開始し妊娠27週~妊振35週まで継続します。

2.副作用・妊娠中のアスピリン服用について

妊娠中に限らず、以下のような人は服用出来ません。

①本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある方
②消化性潰瘍のある方
③出血傾向のある方
④重篤な血液の異常のある方
⑤アスピリン喘息又はその既往歴のある方

胎児に対する影響

胎児には出生後とは異なる循環系があり、生まれるとその役割を終えるものがあります。そのひとつが動脈管で、アスピリンは動脈管を閉鎖させる作用があることが知られています。そのため薬剤添付文書には「28週以降に服用すると動脈管の早期閉鎖につながるおそれがある」と書かれています。胎児の動脈管が子宮内で閉鎖すると問題ですが、実際には低用量のアスピリンの服用で胎児循環系に異常が生じたという報告は現時点ではありません。 最近の最も大きな調査(メタアナリシス、American Journal of Obstetrics and Gynecology:2002)では、アスピリン服用による全体的な奇形発生率の上昇はなかったことが報告されています。ただし、腹壁破裂のみについてはその発生率が上昇する可能性は否定できないとしています。
以上の理由で、当院では妊娠が判明する前からアスピリンを開始し、28週前に中止する服用法を推奨しています。ただし、過去の流産歴や抗リン脂質抗体の抗体価などを考慮し、36週前で服用を中止する場合もありますので、詳細は医師にご相談ください。

西船橋こやまウィメンズクリニック

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Tel.047-495-2050
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